2024年・会期を終えて

おかげさまで2024年も会期終了いたしました。
本当にありがとうございました!

会期中に気づいたこと、気になったこと、傾向や状況などつらつらと書き残しておこうと思います。
ひたすらに長いのでお時間のあるときに斜め読みしていただければ幸いです。


お預かりした糸は(販売希望のミッション糸を含め)496かせ
うち販売した数は315かせ。

昨年2023年は513預かり/269販売(52.4%)ですので、預かり数は減ったものの販売数は上がりました。63.5%はなかなかに良い数字、と思っています。

ただ、昨年23名で513かせ(一人平均22かせ)が、今年は26名で496かせ(一人平均19かせ)。
ボリュームのある綛も多かったのでさほど「減った」感はありませんでしたが、欲を言えば(参加人数を考えると)もう少し量があってもよかったかな、とは思っています。(1枠あたりの重さ制限も設けていますので、綛数が少ない、がイコールでボリュームがない、ではないんですけれども)

もちろん「少数精鋭」でも構わないのですが、「たとえ完売しても参加費もカバーできない本数・価格」だと正直こちらの心が痛みますし、そもそも「なんで参加されたんかな??」とも思います。
私は「手紡ぎ糸を買いたい方」と「手紡ぎ糸を売りたい方」を繋げたくて、この場を設えています。
「本当に売れるかな」「売れなかったらどうしよう」という「不安」はどなたにもあるかと思いますしあって当然ですが、「売れなくてもいいや」という「諦め」はあの場に極力混ぜたくありません。
主催側の心情として、ひとつ心に留め置いていただければ、と思います。


お預かりした糸の色、雰囲気、技法、原材料にかなり左右されるので「あくまで参考」程度に見ていただきたいのですが、今回の五日間(11/13~17)での(糸のみの)販売合計額と販売した綛の数、売れた糸の「最大値(最高値)」「最小値(最安値)」「平均値」「中央値」をグラフ化しました。

2024年の会期通しての最大値(最高額)は1綛(セット)¥9,860、最小値(最安値)は¥440です。
……最安値を底上げしていきましょう! もっと! 積んで!!

会期中の最高額は毎日4,000~10,000円弱なので、「高いものが売れない」わけではなく、同時に「数百円の安いものだったら売れる」というわけでもありません。

もう一つグラフが続きますが、こちらは各日の「購入者数(レジで決済した回数)」と「平均購入額」です。(こちらのデータは糸以外の羊毛などの決済も含みます)

初日11/13はやはり気合の入ったお客様が購入にいらっしゃるので「初速」があります。人数が多い上に一回あたりの平均購入額が6300円を越えています。(ありがたいことです)
日を追うごとに勢い(客数)は減っていきますが、四日目11/16土曜日(平日に動けない方が来場できる日)に再び波が来ています。(2023年は四日目土曜日にここまで持ち上がりませんでした)

三日目11/15はとくに単価が低い糸が動いていますね(販売綛数はそんなに落ちていないのに、総額が二日目の半分くらいになっている)。ただ購買者数が少ないのに平均購入額がさほど落ちていないので、単価の低い綛をまとめ買いされる方が多かったことがわかります。

四日目11/16の平均値と中央値がだいぶ乖離していますが、単価が高め(¥5000~)の綛が複数動いているために平均値が引きずられて上がっているせいです。主に購入されているのは中央値の示すとおり1900~2200円あたり。
また四日目11/16は平均購入額が期間中最も低く(でも4000円越えてる)、まとめ買いが少なかったことがわかります。ですが、購入者数が多いので売上が落ちていません。土曜日ということもあり、来場者数が多い日でした。

五日目11/17は15時終了と早めに切り上げで客数が少なかったにもかかわらず、平均購入額高め。じっくり見て購入していっていただけた感があります。 

どの日も平均購入額は中央値を越えていますので、単品で購入される方は少なかったことがわかります。


今年は毎朝会場内のパノラマ写真を撮っておきました。
全体を見渡して、糸の量が着実に減っていくのがわかるかと思います。

2024.11.13 正面壁はすべて糸、最下段までびっちりと糸
2024.11.14 正面壁左側があきはじめ、羊毛(手染めTOP)が侵食
2024.11.15 さらに羊毛が侵食、また綛糸同士の間隔が開き始める
2024.11.16 正面壁の入口側、最下段が消える、間隔も更に広がる
2024.11.17 入口側に2枚たてていた移動壁が1枚に減る

在廊してくださっていた皆さんと三日目11/15あたりから「去年より減りが早いね?」「最終日すっかすかになるんでは??」と話していたのですが、だいぶ減った最終日になっても会場内に「売れ残り」感はなかったです。
どの糸も馬力というか底力がある感じで、お客様にじっくりとっくり見ていただける会場になっていました。(ですので四日目五日目もちゃんと売上があがっています)


キャッシュレス決済率は(金額ベースで)59.78%。
昨年は50%、一昨年は33%ですので、着実に増えてきているな、という感じです。

いともりでは(主催であるひつじやの決済環境をそのまま流用し)楽天ペイ+Square+Paypayでクレジットカード、QRコード決済、交通系IC、WAON等とカバーしています。

この春にApple社がiPhoneによるタッチ決済機能を開放したことにより、Bluetooth接続する外部決済端末がなくても(タッチ決済であれば)スマホで受取ができるようになりました。
最終日11/17にひつじやが講師役をつとめ、「キャッシュレス決済導入のご案内」という講座を開きました。このときにお配りした資料(PDF)をGoogleドライブ上に置いておきますので、もしご興味があればご一読ください。(外部への持ち出しは禁止とします)

[キャッシュレス決済導入のススメ] 2024.11版
https://drive.google.com/file/d/1JQj57soLCj6qhuTeNcfzRcvLEm9XxNDA/view?usp=sharing


■年を追うごとに手紡ぎ糸をお求めになるお客様は増えてきています。
DMを配りまくったイトマ!からさほど間をおかず、お客様方の財布の紐がぶっ壊れっぱなし(笑)だったのもあるかもしれません。

同時に皆さんのSNS等での告知周知がだいぶ効いたように思います。
「この方をSNSで以前から見ていたので、ぜひ糸の実物を見たくて」という方が何人もいらっしゃいました。そういう方はあまりよそ見はなさらず、お目当ての方の糸をいくつかまとめ買い、という傾向があります。「ファンがついていると強い」ということですね。

■「糸の使い方」については、まだまだこれからも発信が必要だろうな、と思っています。
特にアートヤーンを販売されてる皆様、是非今後ともSNSなどで「こんなふうに使ってみました」などの例を挙げていってくださいませ。購入者が流してくれた投稿もリポストして拾っていきましょう。
今後の販売にもつながる、大事な情報発信です。

■初日はとにかく購入意欲の高い方が多く、一顧客当たりの購入単価はとても高かったです。
山のようにある糸から見つけてもらえる、目に留まる「華のある糸」が動いた感。
「華がある」というのも大変難しい概念ですが、奇抜で目を引いたら動くかというとそうでもなく、「紡ぎ手の主張とお客様のフィーリング、お財布事情が一致するかどうか」というところでしょうか。

ただ、初日はあまりにも糸が多すぎると人間の脳は処理しきれないのだ、としみじみ感じました。目が滑る、というやつですね。そういう状況でも「目に留まる糸」から売れていったのかな、と思います。

会期後半になるとまた様相が変わってきて、1かせが使える空間(余白)が広がり、じっくりと見てもらえるようになります。今年は土曜日がそのタイミングにうまくぶつかり、初日の波がゆったりとおさまりつつある頃に第二波(土曜日)がきました。
お客様の数も多かったですが、購入率も高かったです。

皆様にお送りした「明細」には、どの糸が何日に販売になったか、を記載しています。
どの糸が何日に売れたのか、ご自身の糸が「初速にのってガンガンタイプ」なのか、「後半じっくりじわじわタイプ」なのか、ぜひ研究してみてください。

■会場で在廊してくださった方に少しお話ししましたが、「ターゲット」という視点を持つと自分の活動の舵取りがしやすくなります。
自分の糸を使って欲しい方(使ってくれそうな方)の年代、作るもの、お財布事情、その辺りを考えながら動く、ということです。

ターゲット及びターゲットが来そうな場を探している最中は「売上が全然だめだった」という事態も起こりえます。それは紡いだ糸や会場やお客様が悪いわけではなく、「フィーリングの合う方(ターゲット)が来場されない場に出してしまったのが良くなかった」、ということです。
ある程度の売上を求めるならば、色々なパターンの場に出して「どこなら当たるか」を探る作業が必要になります。

ひつじやのような素材屋の扱うアイテムよりも、手紡ぎ糸は「紡ぎ手」の趣味主張主義嗜好志向が強く出ます。だからこそ「合うお客様(ターゲット)がいると強い」「ターゲットがファンになってくれるともっと強い」のです。

■ざっと全体を見回して、技巧や色にこだわった派手で華やかな糸はやはり早めに動きました。(自然界を見渡しても他者へアピールするために色とりどり華やかになる傾向(孔雀とかインコオウムとか)はありますもんね)

では落ち着いた糸はどう売っていくか、となると「ストーリー」や「背景」「紡ぎ手の思い」などの付加価値をつけていくことになるかな、と思います。

自分が販売の場に立ち会わない(つまり委託)の場合、糸の付加価値である「ストーリー」や「背景」を自分の口で付加することが出来ません。
その場合は糸につけるタグなどに代弁してもらえるよう工夫が必要になるかなあ、と思います。

他のイベントやマルシェと異なり、「てつむぎ糸の森」に来てくださっている時点である程度「手紡ぎ糸に関心がある」層に絞り込めているので、更にそこにどうアプローチしていくか、各自で研究していただけるとよろしいかと思います。

■主催としては「いろいろな、幅広い趣味嗜好を持つ方を大勢呼べば、それだけ参加各位のヒット率は上がるだろう」と考えており、今後も告知の重要性は揺るがないな、と見ています。
これからも引き続き頑張りますが、同時に紡ぎ手からの情報発信も重要、と思っています。
ぜひともよろしくお願いします。

「てつむぎ糸の森」でファンを作りご自身単独出展時の集客につなげる、または逆にこつこつとファンを作って「てつむぎ糸の森」にも見に来てもらう。
そんな展開ができるようになると、主催としては嬉しいです。


来年は昨年同様11月第四週に戻り、2025年11月19日(水)~23日(日)を予定しております。
会場は同じく「写真企画室ホトリ」。

今のところ、募集要項公開は2025年4月、募集受付は5月上旬、出展確定は5月末、という予定です。


今年は日本ヴォーグ社さんの「イトマ!」から間を空けずの開催となり、まったくもって至らぬ運営で色々とご迷惑をおかけいたしました。ありがとうございました!
おかげさまでなんとか2024年、第三回目も無事終幕となりました。

今年は「この場(場所・人数)のMax」を把握できた年でした。

「てつむぎ糸の森」に関しては「自分が頭を下げて責任がとれる範囲(規模)での開催」は今後も変わりませんし、変える気もありません。
来年以降も人数は20~25名以内で、自分がコントロールできる範囲での開催を目指します。

年数を重ねれば場も人も変わっていって当然ですが、叶うならば少しでもより良くなっていければ、と思っています。
皆さんにも(売上以外でも)少しでも学びや収穫があったのなら嬉しいです。

本当にありがとうございました!

てつむぎ糸の森事務局
小野寺照枝(ひつじや)


会場の写真をBowShaverさん&YO!MO!さんから頂戴しました。ありがとうございます♪